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エモいエンジニアが幸せ世界を目指します

#インフラ勉強会 1周年イベント INFRA STUDY SUMMIT 感想

1/26(土)開催、インフラ勉強会1周年記念イベントの学びと感想を語りたい。 当日中に書く予定だったのだが、想定以上の学びと感情量の整理のため、1週間もたってしまったこと、ご容赦願いたい。

インフラ勉強会とは

インフラ勉強会とは、一昨年12月にたちあがった、「日本最大級のオンライン勉強会」である。
詳細はこの後、イベントの登壇の中でも語られるため、そちらに譲る。

インフラ勉強会オフラインイベントとは

普段はオンラインでしか集わない参加者が、オフライン上で学びを共有し、今後の継続的オンライン活動に還元する場である。
もちろん、いつもどおりオンライン上でも学びが共有されているところが「インフラ勉強会」としてのアイデンティティを保っているといえる。
今回のセッションは1週年ということもあり豪華すぎて、正直1500円の参加費でいいんですか、といいたいくらいである。 1

公式イベントHPは

infra-workshop.github.io

インフラ勉強会と私

イベントレポに入る前に、私がインフラ勉強会を知ったきっかけについて少しばかり話したい。

外の勉強会に参加するようになった2018年10月ごろ、自然とTwitter上で「インフラ勉強会」という文字にであった。
ちょうどインフラ自体に興味を持ち始めた時期であり、参加してみようかなと思いつつも、「強そう」2な登壇内容が多く、ためらいもあった。

だが、たまたまRedmineのセッションがあることを目にし、自分自身になじみのあるツールについて、ほかの人がどう思っているのだろうかと気になったことをきっかけに、インフラ勉強会に参加、以降時間と興味関心の合う時に、少しずつ参加するようになった。

そして、マネージャー問題地図1丁目輪読会での声掛けをきっかけに同7丁目の登壇が決定、先日1/19に無事インフラ勉強会初登壇を果たした。3

イベントレポート

開始前

オンライン発祥ということもあり、普段参加する勉強会でもなかなか見かけない方がおおかった。

今回、自分としてよかったなと思ったのは

  • アイコンを自画像風にかえたことで認知性が上がったのか、声を掛けられやすくなった
  • 念願の沢渡あまねさんに声をかけられた!!4

前説

不覚亭ヨウ素さんと平田豊さんによる、前説漫才という名の注意事項etcからスタート。
今回のイベント応募者は120名ほど(当日の出席者は8割ほどとのこと)、北は北海道から南は岡山まで、全国各地から集まったそうだ。オンラインで学びの場を提供しているからこそである。 司会であるヨウ素さんも大阪、ゆたかさんも北陸からいらっしゃっていることも感慨深い。
当日は雪の心配から、遠方からいらっしゃった方にとっては来場できるか/帰宅できるかという問題もあったが、セッションの合間合間で新幹線や飛行機の交通情報が共有されるというのが、非常に新鮮であると同時に、安心感も高めていたように思われる。5

なお、こんなにおもろい司会もとい、漫才前説はなかなかない。
偶然かもしれないが、登壇者の湊川さんもなつよさんも関西出身、実は私も関西出身なので、無意識的に突っ込み・ボケが入ってしまう空間になつかしさと安心感を覚えてしまった。6

注意事項のなかで、共感したこととして写真撮影の原則NGがあった。
オンオフの垣根が低くなっているとはいえ、少なくとも一参加者が勝手にSNS等に登壇者の写真をあげるのは、私としてはご遠慮願いたいなと思っている。

開会のあいさつ@ゆたかさん

そのまま続いて、ゆたかさんによる開会のあいさつ。

資料は

docs.google.com

テーマは「インフラ勉強会1年の振り返り」

湊川さんによるグラレコ

数字で見るインフラ勉強会

現在、インフラ勉強会は

  • 経過日数:399日(1/26現在)
  • 運営:約50人
  • オンライン接続数:平均500名超
  • セッション総数:533回(~2017/12/31)

このような数字の上に、「日本最大級のオンライン勉強会」というお題目が成り立っている。

インフラ勉強会拡大の理由

オンラインのみで完結

勉強会の舞台がオンラインのみで完結していることが大きい。登壇の登録・参加・交流すべてがオンラインでセッティングされている。このことが既存のオンライン「中心」のコミュニティとの差別化になる。

これに加えて、新参者の私から見ても参加・登壇自体の方法の簡易さも付け加えての「オンラインで完結」するコミュニティといえる。

登壇の自由さ

「どんな人」が登壇してもよいし、いわゆるエンジニア技術に閉じずに、生活をよくする方法やマネジメント・質問会も含めた登壇内容の幅の広さも大きい。

確かに、勉強会の名前の通りの「インフラ技術」に閉じた勉強会であれば、ここまで大きく広まらなかったし継続できなかっただろう。私も、初登壇は輪読会という、明確なテーマに乗っかったかたちだからこそ、簡単に参加できたし、「いきなりステーキ入門」のような遊び心のある登壇も多数あるからこそ、多くの人が気軽に参加できるようになっただろう。
そして、いかなる登壇でも必ず聞く人がいる状態になったことで、更に登壇へのモチベーションや意義が高まり続けている。

「ムーブメント」をつくりあげたこと

ゆたかさんがあげる一番大きな理由は、インフラ勉強会が、エンジニア界隈への「ムーブメント」になったことで、より多くの人に興味を持ってもらえるようになり、その結果さらに多くのコミュニティを支える人を獲得できるサイクルができた。これにつきる。

紹介されていたこちらの動画を教訓にすると、コミュニティが広まるには

①1人目の発足者・発起人がいる
②2人目のフォロワーができる
③2人目のフォロワーが次々に人を巻き込む
④その連鎖で、取り巻きの立場であった人たちも加わる

というような段階がある。
①→②が一番大変で、そこにいきついて「楽しさ」や「盛り上がり」が可視化されればおのずと、人が集まり「ムーブメント」ができる。だからこそ、発起人・リーダーは2人目~最初の数人のフォロワーを大事にする必要があるとのこと。

マネジメント論ととらえても、奥底が深い言葉だと感じる。 人は一人では何も大きな波を作れない。だが、最初の一人がいなければ、小さなさざ波すら立たず、そのあとに波を引き継ぐものがいなければ直ぐにその波は消えてしまう。
だから、人と何かをできる、何かを一緒にやろうとする仲間がいることそれ自体が尊い活動だ。
その結果にどこまでこだわるか…悩ましいが、今大事なのはその仲間がいるという事実に目を向けることだろうか。

コミュニティ継続のコツ

ゆたかさんがかかわるとコミュニティが長期化する…というジンクスもあるそうだが、長期間活動するコミュニティにかかわっていらっしゃるからこそ、ゆたかさんからみた継続のコツは以下のとおりである。

  • 感情的にならない
  • いやいや活動しない
  • 無理しない

要するに、コミュニティ活動は、仕事のような義務と見返り(給与)に基づく活動ではない。
だからこそ、しんどい時には無理をせず、相手の善意を尊重して、距離を適宜調整しながら参加することが大事である。

加えて、最も大事なものとして、

  • 折り合い力

があげられる。 仕事とは異なり、基本的に上下に基づく関係性でもないフラットな繋がりである。
だからこそ、かかわる人が当事者意識を持ち、共通の問題意識による感情を共有することが、コミュニティの大前提である。
そのため、相手を自分の鏡としてお互いを尊重し、課題に対して相対することが肝要である。

最後に

配布されたリストバンドを掲げながらIEEE!!!
オフラインでよかった。

S1: インフラ勉強会にみるコミュニティへの貢献@ひよこ大佐

1番手、ひよこ大佐さん。
Twitter転職のキーワード、#hiyokotaisanitudukeでおなじみ。
現在はその転職を機にRedHatにてAnsibleのサポートエンジニアとして活躍。 資料は

speakerdeck.com

貢献とは何だろう

エンジニア界隈で「貢献」といえば、多くはOSSへのコミットなどの「開発」に対する技術的貢献のイメージが強い。だがそれだけが貢献だろうか?
貢献とは、以下の観点で自分の持つ資源・資産を提供することである。

  • 時間
  • お金
  • 知的財産

先に例に出したOSSへの貢献を考えても、

  • 開発
  • ドキュメント整備
  • テスト
  • デザイン
  • 金銭支援

など、貢献できるポイントはいろいろ存在する。

今回特に対象となる、「コミュニティ」は個人の「貢献」なしには成り立たない。
別に仕事でお金になるわけでもないのに時間や労力を大なり小なり割く必要がある。果たしてそれは「自己犠牲」なのか?
いや、そうではないだろう。おそらくコミュニティに継続的にかかわっている人にとって、それは自己犠牲ではなく、本当に楽しいからやっているものだ。そして、その楽しい活動がいつしか巡り巡って還ってくる活動だろう。

確かに、コミュニティに限らず、外部の活動はしんどければ続かない。
いつのまにか、気が付けば、どっぷり嵌っていた、やっている状態が当たり前になっている。
私にとってもそういう活動だと、ここ数か月を見て、そう感じる。
体力的なしんどさやその時々の優先順位はあっても、無理だとかもう嫌だとか、そう思ったことはない。

インフラ勉強会における貢献とは

では、インフラ勉強会における貢献とは何だろうか。
インフラ勉強会が成り立つ要素を分解すると、

  • 運営7
  • 環境提供
  • 登壇

そして、多くの人にとって一番気軽にできる貢献が「登壇」である。
現地で登壇経験者を確認したところ、およそ参加者の6割、インフラ勉強会での登壇経験があった。
実はこの数かなりすごい率ではなかろうか?正確な統計などはないが、体感でオフラインの勉強会で登壇経験がある人は実は相当限られるのではないかと思う。 それだけインフラ勉強会の登壇の敷居の低さが際立っているだろう。

とはいえ、残り4割は未経験であり、これからの登壇が期待される層である。
これらの層に対して、あるいは2回目以降の機会をうかがいつつもなかなか手が出ない人にとって、登壇のメリットとは?

登壇で得られるもの

今回、ひよこ大佐さんが紹介した観点は以下のとおりである。

  • 知識や経験の還元
  • 気軽なアウトプットの場
  • 知識・技術の補強
  • フィードバック

何より楽しい
私も晴れて「登壇した」側であるから、全力でうなずくが、確かにオンラインなので顔が見えないという恐怖感はある。
機材等の環境も含めてちゃんと伝わっているのか不安な点もある。
だが、じっくりと自分にとって落ち着ける環境で、自分のペースで話したり、チャットとやり取りしたりすることができる。 登壇して伝えるために、資料を作成する過程で、気づきや発見を得られることも多い。
万が一「失敗」したりしても、それを知見として受け止めてくれる環境でもある。
場所や時間にも縛られず、自由に発言することも、リアルタイムで多くの人の意見をもらうこともできる。

だからみんなも登壇しよう!!!

登壇に困ったら

インフラ勉強会のDiscordやTwitterハッシュタグをつけてつぶやいてみよう。
経験者がきっと助けてくれる。

「自分が登壇する価値などないのでは…?」
いやいや、仮に過去に同じようなセッションがあったとしても、「あなた」がやることに意味があるのだ。
「弱い」エンジニアだからと引っ込む必要もない。同じような境遇の人の助けになるだろう。

だからあなたも登壇しよう!!!(2回目)

S2: インフラ女子の日常の描き方@なつよさん

2番手、なつよさん。 表題でもある「インフラ女子の日常」の作者。

高専卒でこの業界に入り、開発するぞと意気込んでいたところ、配属されたのはサービス運用部。
LinuxDebianなど運用面の技術力は未経験であり、苦労されていたが、そういったインフラ面の四方山話をTwitter上で漫画にして投稿したところ、大反響。それが2018年から開始の漫画連載につながった。

インフラ女子の日常ができるまで

マンガができるまでの工程は

ネタ集め→ネーム→着色→文章(コラム)執筆→納品→請求書発行

そしてこれらすべての工程においてiPadが不可欠。なつよさんiPadに何かがあると、すべてができなくなるほど超重要。

ネタ集め

ネタのメモにはTrelloを使用(過去作品の整理でも利用されており、Trello駆動といえる)。
ネタは過去の経験や日常的な会話からつくっているそうだが、ともすれば業務上の機密のグレーな部分や特定の個人団体の悪口になってしまうおそれもある。そういった意図しない影響をさけるためにも、ネタとなるかどうかの観点として「マンガとして取り上げたときに、マンガの特性が生かせるか」といったところに気を付けているそうだ。

ネーム

基本的にはiPadとPencil、ソフト「ibis Paint」を利用しているが、たまにスケッチブックを遣うこともあるとのこと。
ネームの時に大事なのは「環境」。家だとゲームなどの誘惑が多いので、そことうまくきりはなすこと。

着色

作画していくうえで大変なのは、小物。
現場らしさが分かるもの(サーバ周りのちょっとしたケーブル・収納)をうまくとりいれることで、皆に伝わるそれっぽさを表現している。

絵心皆無の私だが、マンガ家・イラストを描く人の視点として興味深く感じた。
要するに、自分の周りの個別事象をいかにうまく、抽象的にかつ、納得度の高い具体的な光景に落とせるか… 文章を書く時にも必要な目線だなあと思う。

イラストは描けない人ですが、イラストを描く人自体は昔から周りによくいたおかげか、その当時からの技術進歩が進んでいるんだなと感慨深かったり、管理しているTrelloの画面からのネームをたくさん見せていただいて内心超テンション上がってた、ただのヲタクでした。

マンガを始めて得られたもの

つよさんがマンガを始めるまで、エンジニアとは「強い開拓者」である人に価値があるとおもっていたそう。
例えば、OSSへ貢献していたり、強い会社にいたり、執筆しまくってたりetc
でも、実はそれだけが貢献じゃないんだという考えに変わった。

普通のエンジニア向けになつよさんのマンガを通して、「あるある」を伝えることでエンジニア界全体にメッセージ・教訓を伝え得ることができる。その役割は万人ができるものではないという編集者さんの言葉からの気づき。

そして、マンガを描くという副業を通して、逆に本業に対する気づきにもなったとのこと。
マンガの反響をみると泥臭い経験を描いた回のほうが、反響が良い。
それだけ苦労している人も多いといえるし、そういった泥臭さにも大切なことがあるといえるだろう。

「副業」でなくとも、業務以外の外部活動とそれによる刺激って社内の活動への還元が大きい。
わたしも、アウトプットをはじめたことで、普段の業務に対する気づき・カイゼン思考が強まったように思える。
だから、「副業したら、本業がおろそかになる」という言説で一律禁止にするのはいかがなものかなあと思うのです。
(勿論、向き不向きもあるでしょうし、本業をほったらかすのは確かに本末転倒とは思うけれど、一律禁止にする理由はないよねという意味。「禁止」って思考停止であり、社員の自立を阻害しているのではないかと考えるだけです)

S3: 実践!イラストでわかりやすく表現する技術

3番手湊川あいさん。
マンガで始めるXXシリーズ、通称「わかばちゃんシリーズ」の作者。前回の技術書典5で販売したDocker本は1・2巻合計で2500冊超売れた、すごい人。

資料はこちら

docs.google.com

よく「マンガ内の解説は外部の人が書いたものなのか?」と聞かれるそうだが、ご自身で確認・検証している。
その原点は中学ごろから、自分の授業ノートにイラストで解説を書いていたことが始まりだそうで、そういうノートをとおして、難しいことをイラスト化するのが得意になったそう。

そして今回のセッションにあたって、参加者に「べきとう性」の図解が課せられたのです。
イラストが描けなくても、「いらすとや」や図形の組み合わせで十分表現できるので、ぜひ取り組もう。
雫を表現するのに「△+□で表現できるよね」という実例をみると、確かに、イラストが描けなくてもできるかも、、、なんて思ったが、そもそもイラストで表現できること自体が、描く技術じゃなくて、物事の捉え方だなと思ったのは後述。
私も、今になっていらすとやを貼り付けただけの図はつくったので、最後に掲載する。

図解ができるまで

湊川さんのわかりやすく、共感性が高い図解・マンガ能力は以下の観点を持つことで成り立っている。

つまずいたことをメモ

初めて取り組んで躓いたり分からなかったことをとにかくメモすること。
特にポイントとしては、解説を見てもわからなかったことを中心に、その分からなかった時の感情をメモするとGOOD。
あとで漫画にすると、それが生きたメッセージとなり伝わりやすい。

過去の躓いた自分の答えを作る

過去の躓きに対して、自分で答えを作ってみること。 最初は正確さを重視。

だが、人に伝えるにあたっては、正確なだけでは結局伝わらない。
「早く・重く」まるめてあげることが重要とのこと。どういう意味かというと、分からない初心者に情報を詰め込んでも伝わらないしすぐにすり抜けてしまう。
だからこそ、最初は相手が理解できる「分量」で分かりやすく伝えることが大事。

では、具体的な「コツ」とは?

①中学生にわかるような表現
言い換えたり、具体例を用いて、イメージがわくようにすることが大事

②抽象と具体/事例と比喩をつかいわける

  • 抽象:要するに~~
  • 具体:例えば~~
  • 事例:実際、~~
  • 比喩:まるで~~

という4タイプの言い回しをうまく使うこと+これらをもとに、相手に感情を起こさせる(なるほど、共感、オチ)ようにすると印象に残る。

さらっと書きましたけれど、なるへそという思いが止まらなかった。
相手の立場に立って~~などと安易に言っちゃうけど、それってこういうことを満たすことなのかと目からうろこだった。

表現する&発信する

今まで考えたことを用いて、いろんな媒体で表現し、実際「外に」発信してみよう。

幸い、最近の発信のハードルは低く、Twitterでちょっというだけでもバズることもしばしば。
自分に合う媒体でとにかく出してみることって結構大事だなと痛感している。

図解のノウハウ

図解の基本構造として2つの項目があったときに

  • 対比
  • 内包
  • 因果

等ある。これらを明らかにすると同時に、「だからどうした?」という感情的な結論を見せることで納得感を増す。
そして、「やさしい」→「むずかしい」→「どういうこと!?」→「わかった」という納得のサイクルを回すことで、飽きさせない湊川さんのマンガが成り立っている。

さいごに

分かりやすく表現することは、相手へのおもてなしである。
難しい解説が続くときは丁寧に整理したり、逆に簡単なことが続くときにはギャグを入れて飽きさせないなど、相手の目線を理解したうえで、いい塩梅で情報を出すことが、わかりやすい解説、図解への一歩である。

「全然わからない初心者だし…」という今こそチャンス。
「わからない」が「わかる」になる経験を積める初心者だからこそできる解説がある。
それをまとめるだけでも、あとに続く初心者が同じ躓きをしなくてすむかもしれない。

だからみんな本を書いてね。
私もいい加減、技術系アウトプットもします… というわけで。

私が考える「べきとう性」とは

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解説必須で「図解」といえるのか微妙ですが、要は

どんな環境(矢印左の動物たち)からであっても、同じ個体(クマ)が生まれる。

みたいなイメージととらえているのですがどうでしょう?
Dockerでいうと、
MacだろうがWinだろうが、同じDockerfileさえあれば、元の環境に関係なく、同じ環境が作れる
と認識しているので、そんなイメージです。

  • 抽象:要するにいつでもどこでも、おんなじものがつくれる
  • 具体:例えばDockerとかそうだよね
  • 事例:実際、WinやMacなどの差異は関係ない
  • 比喩:まるで同じ細胞からできるクローンじゃね?

S4: 私に背中を見せてくれた永遠の上司Sさん@沢渡あまねさん

4番手、沢渡あまねさん。
言わずと知れた、問題地図シリーズの著者であり、「ダムはいいぞ」「さわやかはいいぞ」の方。
IT×広報の立場で、非エンジニア界隈もふくめた、ITの文化や手法による業務改善の伝道師。

資料は

www.slideshare.net

今回の「上司」のトピックについて

「上司の問題地図」や「アンチパターン」ではなく、すごい上司Sさんのお話について。
ちなみにこちらは、Twitterでのアンケートによって決まったそうな。

もう一方のITILのお話もぜひどこかで聞きたい。
ちなみにこの本は私も持っています。おすすめ。

Sさんとの出会いー転職の面談

沢渡さんの上司Sさんとの出会いは、転職での面談。
そこで一度も、転職理由については聞かれず、当時課題となっていたオフショアのお話をした。
入社後に聞いて曰く「一緒に未来を作る人を探すための面談で、なぜ転職理由を聞く必要があるのか」ということ。

更に、本来の予定であれば本部長面談も行うはずだったのに、この面談の後間もなく転職が決まったとのこと。
このスピード感が決め手となり、沢渡さんはNTTデータに入社することとなった。

このことから、転職で本当に大事にすべきは、この人(会社)と未来を作れるかということ。
その判断軸はひとそれぞれだが、根本の仕事や世の中に対する考え方を面談などを通して、いかにストレートに意思疎通できるかがカギだろう。

入社後ー顔を広める

入社後、Sさんが沢渡さんに課したのが「社内100人、社外100人の知り合いを作る」こと。
そんな無茶な、、、という感じだが、Sさんはそのための後押しとして、社内での知り合いを増やす場やカンファレンスに連れて行ったりした。
Sさん自ら外部の勉強会に気軽に参加することで、部下も行きやすいのはもちろん、その学びを持ち帰って共有することを率先することで、自然と知の循環も行われる。
極めつけは、NTTデータの当時の副社長と会話する場をセッティングすることで、いろんな人から話しかけられやすい状況を沢渡さんに作った。

何という鮮やかさ、徹底っぷり、美しい師弟関係…
ここまでSさんが人のためにできるのは、沢渡さんのことを大変買っていたというのも大いにあるだろう。

そして、特に好きなのが、(以下自粛)。
世の中には2:8とかいろいろな法則があり、残念ながら負の感情やマイナスの噂のほうが声が大きくなって伝播しやすい。
だからこそ、何か信じるところがあるならば、そういうものを気にせず進まねばならない。

加速期ーマネージャーの言動がチームを作る

Sさんにはいろいろと口癖があったそうだ。
その一つが「インプットとアウトプットは何?」
そう部下に問い続けることで、自然と部下の報告も形作られる。

ある1つが「30~40点でよいから、すぐもってきて」
ビジネスのスピード感をよく理解していらっしゃるし、相談も自然とできる。

また別の1つが「きみがそんなことはしなくてよい」
組織であるからには人には人の役割がある。
事務が苦手と公言する沢渡さんに事務をさせないことで、本来の役割に集中させ、価値を最大限発揮させる。 こんなに「当たり前」にしたいはずことに、ふたをかぶせてしまう組織やチームがいかに多いか…

ある時には「売るための経験やノウハウをためよう!」
仮に内製組織であったとしても、それをノウハウ化することが今を救うだけでなく、いずれ外へのエネルギーになる。
たとえ、ただのルーチンであったとしても、そこから何を見出すか。

そして、「好きな人を引っ張ってきていいよ」
もはや、最高だ!言わしめる沢渡さんも、それを言えるSさんも。 そういう人が周りにいたとき、ぜひ一緒に働きたいといってくれる人がどれだけいるか。
もし私にそう言ってもらえた時に、一緒に仕事できる人がどれだけいるか。
それって、これからの人としての価値、プロとしての価値の1つではなかろうか。

炎上期ーピンチの時こそ人の真価

炎上とは避けたいのに避けられない業である。
だからこそ、人としての器が見える期間でもある。

そんなときのSさん、普通の炎上期ならより密な報告が求められがちだ。
しかし、「わざわざ報告に来なくてよい、それなら自分が行く」と沢渡さんを業務、特に現場の指揮に集中させようとした。

実は私も似たような経験(炎上していた時に、上の方が自ら現場の状況を積極的につかみに来ていただいたこと)があり、そういう時って本当に動きやすい。どう報告するかということに気を取られてとりつくろわなくて済むし、「一緒に戦っている」感が高まる方法といえる。
※もちろん、上の方がそれ「だけ」をされると困るのだが。

どうしても言わなければいけないことをチームに言おうとして、Sさんに相談したときの一言
「(沢渡さんが)嫌われてはいけない、俺が言う」
マネージャーやリーダーの立ち回りの匙加減って難しいなと思う。
ちょうど君主論を見ていたら、 「リーダーには恐怖がないといけない、だが嫌われてはいけない」
という考えが紹介されており、何となくこの話をまた思い出した。

炎上中、BPのヘルプデスクにハンバーガーを配るSさん。
立場に関係なく頑張ろうという気持ちが通じるし、沢渡さんもおっしゃっていたように、こういった些細な気遣いって結構覚えているんですよね。私も身に覚えがある。

沢渡さんのご家族にトラブルがあった際、炎上中なら顧みる余裕もない。だがSさんはこう言って、ちゃんと面倒を見るように諭した。
「安心して休みなさい、こういう時のために課長がいるのだから」
こういうことをきっかけに「問題地図」シリーズは生まれたそうだ。

確かに、がむしゃらにやらなきゃいけない時もある。あるかもしれないけれど、それって家族などの大事なものを捨ててまでやらねばならないのか?
私自身も、炎上でつらい思いをしたこともある。その時に言われる一言一言が、辛さを増幅させたり逆にすごく励みになったりする。
炎上期こそ人が問われる、とはまさにそういうことだろう。

旅立ち~今

離職後、沢渡さんが初めて出版されたとき、Sさんから久しぶりに連絡がきたそうである。
「出版おめでとう」と。
特に連絡もしていなかったのに、たまたま本屋で見かけてSさんはピンときたそうである。
本当の意味で通じ合っているとはこういうことだなと思う。

そして、最近久しぶりにSさんと再会したそうである。
近況を聞くと、子会社の閑職に回されてしまったとのこと。
それでもなお、今いる場所でのカイゼンを続けており、2年かけて成長を諦めない姿勢を示し続けたそうである。
おかげで、部下が自ら勉強会に行くようになったり、新しい勉強の成果を報告してくれるようになったそうだ。

ついつい、できない人が悪いとお互いに言いがちである。でもそれって、お互いに何かを諦めてしまった状態ではなかろうか。
そういう状況であっても、何とかする継続的なパワーと姿勢を持ち続けられるSさんに脱帽である。

Sさんに教わったエンジニアの価値

エンジニアの価値とは、「いいものに素直に良いと認める」しなやかさ。
そのためには、面白いことを見つけては取り入れ、逆に繰り返し=つまらないことは極力排除することで、エンジニアとしての創造力を持ち続けることが肝要ではないだろうか。

そうか、そうなのか。

私のエンジニアの定義は「課題解決する人」だった。
そこには課題を見つける「鋭さ」や「心の豊かさ」、課題を自分ごとにできる、人としての「共感性」、解決する方法を見出す「知恵」や「技術」、解決まで貫き通す「芯の強さ」が必要と思っている。
エンジニアであり続けることを選んだ私が、どんなエンジニアになれるのか、そう考えなおすのに、とても面白い定義だなとおもう。
硬直化した組織はエンジニア組織ではありえないだろう。世の中に求められるエンジニアは、真に人の世にあるべき姿を「技術」を軸に追い求め、提供することだろう。
そのために常に古きものから新しきものまで追い求め、その価値を判断し、認め、実社会に取りこむこと。
と考えてようやく、沢渡さん流エンジニア論が腑に落ちた。

私のお気持ちのお話

某Podcastなどで「沢渡さん、尊敬してます!」と発言し、ちょうどイベント1週間ほど前にマネージャーの問題地図で登壇させていただきました。
当日、内心ドキドキでお話しさせてもらい、本にサインまでいただきました。
でも、いつもは本当に気さくにTwitter等でお話しさせてもらっています。

そんなお気持ちの中、初めて生の沢渡さんの登壇を聞かせてもらいました。

「尊敬してます」などと気軽に言えないほど圧倒されました。
周りに人がいなければ泣いていたでしょう。様々なバックグラウンドの参加者の人生の中に少しずつリンクするものが感じられて、かなりの人にとって響くものであったことはTwitter等を観測する限り、確かだと思います。
事実ベースなのに、これほど鮮やかにその光景・感情まで思い起こされるような力、Sさんの力もさることながらそれを自分のものとして改めて発信する沢渡さんご自身のお力がなければ、ここまで圧倒される登壇だという感想を抱かなかったでしょう。

誰しもに、尊敬できる上司や先輩の思い出が1つや2つはあるでしょう。その尊敬できる人の思い出の背景にはつらいこともあるでしょう。 私も、お話を聞きながら新人のころのあれこれ、直近のあれこれをふと思い浮かべました。 恐らく、聞いていた皆さんもそうだったのではないでしょうか。

実は終わってからも、じんわりとなんとも言えない感情のままでした。
私の行く道の先に、こんな風なパワーで人に何かを伝えられるのかと。
おこがましいかもしれませんが、改めて私は沢渡さんを尊敬しています。まだまだ、ひよっこの私です。どうなるかもわかりません。
それでも、やり方や道は違っても、沢渡さんみたいなパワーのある人になりたいなって思います。

総括

私の感じたインフラ勉強会オフイベ。

それはインフラ勉強会最高だな。その一言に尽きる。

そして、あえて蛇足気味に付け足すならば、1にも2にもアウトプット・登壇。
3・4がなくて5くらいまでいってから、いろいろこのオフイベの知見を参考に内容を深ぼればいい。 みんな登壇しようぜ!

最後になりましたが、現地でお会いできた皆様、お声掛けしそびれた皆様、また会いましょう!


  1. しかもセッションだけではなくお土産として、リストバンドと限定同人誌付きで、もはやこれだけでペイできてしまう。素晴らしい世の中だ。

  2. 技術音痴エンジニアのためであり、当時はわからなくても突撃するほどの精神は持ち合わせていなかった。

  3. 登壇詳細はこちら。資料はこちら

  4. 後ほど著書にサインをいただきました。ありがとうございます!

  5. 後で知ったことだが、スタッフの皆様やオンラインで参加されていた皆様からの情報提供によるものを集約したそうだ。コミュニティとしての温かさを感じる

  6. 私自身、関西弁を忘れ気味で普段はしゃべれない。関西弁で話しかけられればまだまだ現役

  7. 運営に関しては、当日配布された限定同人誌をぜひ読んでいただきたい。これ一冊でまた泣きながらお酒が飲める。